グレンモーレンジ ASTER
グレンモーレンジの新作「ASTER」(写真左)。以前あった「アルチザン・カスク」(職人の樽)の後継というか延長線上に位置するもの。したがって、木目の細かい高品質な樽を使って熟成させてある。カスクストレングス(樽出しそのままで加水なし)で度数は57度くらい。アイラじゃないカスクストレングスというのもなかなか珍しいと思うし、何よりグレンモーレンジのカスクは珍しい。
ショットで1杯だけ飲んだ印象は、雑味、と言っては申し訳ないのだろうけれど、不自然な、後でつけたような味や香りがなくて、透明度の高い自然な味わいだということ。言い換えると、分かりやすい香りの華やかさはないものの、じわっと密度の濃いウイスキー、という感じであった。また、アルコール度数が高いことは感じさせられるものの、アイラのような濃厚なヨード香や甘みはないにもかかわらず、さほどピリピリした感じにはなっていないのも意外であった。
ちなみに、レギュラー商品の定番である10年オリジナル(写真右)を直後に飲んでみると、度数が40度と57度とほぼ1.5倍であることもあって、その香りとパンチ力においてはまったく別物。とはいえ、ASTERのエッセンスはオリジナルの中にもしっかり生きており、ASTERにはグレンモーレンジのコアな部分が凝縮されていることを感じさせられた。
ASTERは、さすがにレギュラー商品ではないようで、国内での流通量も少ないらしいけれど、樽を知り尽くした蒸留所長、ウッドマスターとしてのドクター・ビル・ラムズデンの面目躍如たる1本だと思う。「裾野を広げる」という表現をした10年オリジナルが定番で数を売るものだとすれば、このASTERはそれとは正反対のいかにもマニアックなモルト。「商売のベースフローとは別の次元で、ま、こんなのも作れるんですよ」という声が聞こえてきそうなウイスキーであった。
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